金魚のめがね

昆虫写真家、金魚と暮らす日々。

大阪らんちゅう

大阪らんちゅう愛好会 黒子頒布会の報告

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去る6月19日(日)、愛知県豊川市の向坂養魚場において、大阪らんちゅう愛好会の2016年度黒子頒布会(分譲会)が開催されました。3月に池山会長が亡くなられて以来はじめてのイベントということで不安もありましたが、ふたを開けてみればここ数年で一番の出品数と参加者で、たいへん盛況でした。


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また、昨年末にTV番組で流れた大阪らんちゅうの特集を見て来られたという、一般参加(会員以外)の方々も多く、テレビの影響力をあらためて感じた次第です。

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僕はこういった3cm前後の黒仔、青仔を300~400尾ほど出品。

今年の幼魚は尾が大きく尾筒の短い魚が多く、親としても会用としても期待できるものが少なからず入っていると思います。お買い上げくださった皆さんは、小さな欠点で選別を急ぐことなく、じっくり飼って見極めて頂ければ幸いです。

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そしてこれらの2歳魚も放出。昨年のアライグマ被害でほとんど壊滅した2歳魚ですが、将来の親用にと屋内で飼養していて難を逃れた魚たちです。この春からは屋外飼育に切り替え、太みが出て色も揚がってきたところです。

品評会用の魚ではないので仔細に見れば欠点もあるのですが、鑑賞用として、また種親としてよい仕事をしてくれることは間違いない魚たちだと思います。

さて、今回の黒仔頒布会では一部で会関係者の「魚の説明」と称した不適切な言動(すでに買い手の決まった魚へのダメ出し、欠点の連呼など)があり、不快な思いをされた方もいらっしゃったかと思います。そういう僕自身、あまりのことに呆然としてしまいましたが、今後そういったことのないよう、身を引き締めていきたいと思います。*個人の見解です。

なお、販売された魚に関しては、いずれも決してレベルの低いものではなく、ましてハネ魚ではありませんのでご安心ください。

次回は8月7日(日)、今回と同じく11時より向坂養魚場にて当歳研究会が開催されます。また魚の分譲も予定しておりますので、大阪らんちゅうに興味をお持ちの方は、ぜひご来場ください。 

池山会長のこと

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池山 五郎 会長 2015年の観賞魚フェアにて。

去る3月17日、大阪らんちゅう愛好会の池山五郎会長がお亡くなりになりました。享年78歳。

大阪らんちゅうの復元と普及に半生を賭けられた、僕が心より尊敬する先生でした。

その連絡はあまりにも突然の事で、しばらくぽかんと放心状態。つい数か月前には会員の方からお元気な様子を聞いていたので、まさかこんなことになるとは思いもしませんでした。

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2013年、品評会で挨拶される池山会長

ここに簡単ではありますが、池山会長が大阪らんちゅうの復元と普及に果たされた功績を簡単に記しておきます。僕が会長から直接聞いたお話をベースに、各種資料の記録を元に補完。

・戦後まもなく絶滅したとされる金魚、「大阪らんちゅう」を知り、その生き残りを探して各地を探訪。膨大な時間と費用をかけ、1970年代半ば、ついに大阪府富田林市の旧家の池に、半ば野生化して泳いでいる2尾を発見。パンツ一枚になって池に入り掬い上げ、それを譲り受ける。ただしいずれもオスだったために繁殖させることはできなかった。

・その後、奈良・大和郡山で大阪らんちゅうを他品種(ナンキン、土佐錦魚、らんちゅう、中国花房)から復元しようとされていた西川氏(西川金魚農場)より、復元過程の魚を譲り受ける。これを先のオス2尾と掛け合わせ、池山会長の大阪らんちゅう復元がはじまる。

・文献や口伝を元に研究を重ねつつ交配を繰り返し、完全復元に向けて30年以上にわたり品種改良を続ける。

・2006年、より多くの方の力と知恵を結集すべく「大阪らんちゅう愛好会」を結成。以後、本年まで会長を務め、大阪らんちゅうの復元と普及、後進の指導に尽力する。

 このように、本来は人知れず絶滅していたであろう「大阪らんちゅう」という金魚を、現代を生きる僕たちに見せてくれたのは、池山会長の情熱なのです。

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池山会長、2014年初夏の黒子頒布会にて。

 もっとも僕自身は金魚を飼い始めたのが2012年ですからつい最近のこと。しかし何のご縁か、最初に飼ったのが向坂養魚場で生産された(池山会長系の)大阪らんちゅうだったことから、いつの間にかこの品種にすっかり魅了されてしまい、翌年秋の愛好会入会につながりました。

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池山会長作出の親魚。

会長は「会員には何でも教える!」と言うのが口癖で、僕のような初心者にも分け隔てなく接し、絶対に他では聞けないような飼育や品種改良の「コツ」や「秘密」を何度も何度も、理解できるまでやさしく話してくださったものです。

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熱く指導される池山会長。2015年夏、研究会にて。
 
 会長がその豊かな見識を元に、金魚飼育のアドバイスを身近な出来事や最新の時事ネタなどに例えてユーモアたっぷりに話されるのがとても面白く、会長がお話されるときには常に近くにいて一言も聞き漏らすまいとメモ帳を持って聞いたものでした。その「池山語録」は僕の宝物であり、金魚飼育の道標です。

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2015年品評大会表彰式にて。池山会長と僕。

 そのおかげでしょうか、いつの間にか僕も品評大会で入賞できるような魚を育てることができるようになっていました。もっとも会長には「肉瘤が出とるな」「餌のやりすぎだ!」と注意されてばかりでしたが。

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我が家のカタヒゲちゃん(2014年当時撮影したもの)

 中でも忘れられないのは、一昨年の大会に僕が出品した二歳魚、これの鼻髭が片方赤で片方白だったのを見た審査中の会長が「カタヒゲじゃん!」と大きな声で一蹴した場面。自分の魚への批評なのに思わず笑ってしまったのを、昨日のことのように思い出します。その後、我が家でその魚は「カタヒゲちゃん」と呼ぶようになり、今日も元気に泳いでいます。いわば会長が名付け親。

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会長が作出され、おそらく一番気に入っておられた「楊貴妃」という斑名の親魚。

 そんな楽しい思い出をたくさん残してくださった池山会長ですが、実際にはわずか2年半ほどのお付き合いでした。まだまだたくさんお話が聞きたかったのに、残念でなりません。

けれど、ほんの短い間でも同じ時代に生き同じ場所で同じ時間を過ごせたこと、直接ご指導を頂けたことはこの上なく光栄です。頂いたアドバイスの一つ一つを胸に、会長が遺された素晴らしい金魚を次代へとつないでいきます。

 どうか雲の上でも大好きな煙草をふかしながら、美しい金魚たちを眺めていてください。そして悲願であった大阪らんちゅうの完全復元への道のりを、愛好会の行く末を、いつもの笑顔で、そしてほんの少し心配しながら見守っていてください。

 池山会長、ほんとうにありがとうございました。 ご冥福を心よりお祈りいたします。

始動

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大阪らんちゅう オス親魚

天気の良い日が続いていることもあり、春に向けて屋外飼育組の床直しを行いました。およそ2か月半ぶりの換水とあって、舟はコケや沈殿物がたまっていました。

舟をよく洗い、水は6~7割ほどを新水に。金魚たちも心なしか気持ちよさそう。

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穂竜・変わり竜 明け2歳魚

昨秋のアライグマの魔手をかろうじて逃れた、明け2歳の魚たち。こちらもコンディションは良好で、春以降の成長が楽しみ。

今年の金魚飼育、ようやく始動です。

2016年2月27日

見守る

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当歳時の姿(2013年4月孵化 → 2013年12月撮影)

先日の品評会、親の部で優勝となった魚の2年前の姿です。生後約8か月。六輪柄で太みはあり、欠点の少ない魚ではありますが、これといってよい所も見つかりません。右の鼻髭が白くて残念。尾ビレは親骨の張りがやや強く、尾筒周りが白抜けしています。

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二歳時の姿(2014年11月撮影)

約1年後、昨年秋の姿。全体に幅、量感が出ました。赤は濃くなり、目巣は銀から赤に。尾ビレもベタ紅となりました。尾先がやや下がり、張りも弱まって柔らかな尾に。この歳から品評大会に出品。二歳の部、三席を頂きました。

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現在(三歳時)の姿 (2015年11月撮影)

そしてさらに1年が経ち、現在の姿です。体はさらに太くなり、腰から尾筒にかけて点々と赤が浮いて、飛び更紗に。白かった右の鼻髭は紅白の斑模様となりました。尾はさらに柔らかくなり、泳ぐと後ろに畳みますが、止まるとフワっと開きます。そして既報の通り、本年品評大会において優勝を頂くことができました。今後は種親として活躍の予定です。


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成長と変化(写真のサイズ比率は一定ではありません)

この魚は大阪らんちゅうが成長に伴って大きく変化すること、その面白さや見極めの難しさを教えてくれました。しかし当歳時に先を見通すのは難しいもの。できるだけ多く残し、成長を見守るしかなさそうです。

大阪らんちゅう愛好会 第10回品評大会へ 後編

大阪らんちゅう愛好会、第10回品評大会のレポートもこれが最終回です。

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優勝 出品者:尾園 暁

昨年は2歳の部・3位となった魚。胴が太く尾幅もあるのですが、当時は真っ白な体で、鼻髭は片側が白く、評価を下げていました。

しかしこの1年で体には点々と赤が浮き上がり、飛び更紗に。白かった鼻髭にも赤が混じり、味のある柄となりました。大阪らんちゅうは親になるまで分からない面白さがあります。

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準優勝 出品者:池山 五郎

このブログでも何度か掲載してきた、池山会長の秘蔵っ子。バランスの良い体型に見事な更紗模様。

頭道具揃いで腹模様+六輪で、古い文献にある理想の24規定の一つ、「楊貴妃」に相当するものです。いつかは自分のところでも、こういった素晴らしい模様をもつ魚を生み出してみたいもの。

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三席 出品者:渡辺 和則
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四席 出品者:渡辺 和則

三席、四席は今回の品評会で多くの魚を上位に入賞させた、渡辺さんの魚。いずれも美しく非常に健康的な様子が印象的でした。コンスタントに良魚を作る、飼育技術と選別眼はお見事です。

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五席 出品者:仲 幹雄

おそらく昨年の二歳の部・優勝魚。やや長手の魚で色柄も良いですが、何よりも美しく広がった丸い尾が素晴らしい。

以上で品評大会の入賞魚レポートを終わります。

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最後に、今大会の成績表を掲載しておきます。念願の親の部、二歳の部で優勝、当歳で準優勝と、よい成績を頂けたことはとても嬉しく、アライグマ被害で飼育の継続さえ危ぶまれたなかで、たいへん励みになりました。

今年の大阪らんちゅう関連行事はこれですべて終了しましたが、気持は来春の仔引きへ向けつつ、慎重に飼育管理を続けていきたいと思います。




 
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