先の日曜日(7月27日)、愛知県の向坂養魚場において、大阪らんちゅう愛好会の研究会が開催され、僕も少し勉強しようと、ノコノコとやってきました。
会場でまず目に付いたのは、美しい展示魚の数々。こちらは以前にも掲載したことのある、池山会長の作出魚で、やや長手ながら丸みのあるふくよかな体型と、上品な色模様。明治時代の文献に載る、大阪らんちゅう色模様24種のうちの一つ、「楊貴妃」と呼ばれるもの。
横見では、腹の下側に赤がまわっているのがよく分かります。通常、魚というのは背側の色が濃く、腹側が薄いもので、金魚もその例外ではありません。それだけに、いわゆる調色なしに出るこうした色模様は希少であり、価値が高いものとされたのです。いや、なにより理屈抜きで美しい魚ですね。
池山会長 作出魚
長手が好み、と公言される会長の魚だけあって、いずれも伸びやかな胴をもつ親魚たち。
こちらは会員の板谷さんの作出魚で、大阪らんちゅう界では知らぬ者のない、西川金魚農場の血統だそうです。
西川系統の大阪らんちゅう
この2尾もそう。西川さんから譲り受けた親魚から、板谷さんが仔引きして選別淘汰した2歳魚だそうです。いずれ劣らぬ美しい体型と色模様。うっとりするような品のある魚でした。
一通り見たところで、参加した会員(会長+5名)で、大阪らんちゅうについての勉強会を行いました。40年以上に渡る飼育経験から、今後の飼育、改良につながるさまざまなお話が聞け、充実した時間を過ごしました。
その後、再度外に出て、当歳魚の品評へ。
向坂養魚場産 当歳魚
この日は会員が当歳魚を持ち寄って、会長に良い点、悪い点、今後の飼育における注意などをお聞きする会だと聞いており、ぼくもあえて恥をかこうと3尾の当歳魚を連れていったのですが、いざ会場入りしてみると、当歳魚を出しているのは会場でもある向坂養魚場さんだけでした…。どちらもきれいな更紗模様で、すらっとした体形。これからぐんぐん伸びそうな魚に見えました。
尾園作出魚 #1
そしてぼくの魚。3月生まれで、ほぼ褪色が終わっています。以下、会長の評。
良い点
・尾筒が太い
・幅がある
・サシていない
・丸尾ではなく、後ろに流しているが、今の段階ではこれぐらいでよい。これから広がってくるだろう
悪い点
・餌の与えすぎで肉瘤が出そう。控えた方がいい
・やや尾芯太く、ツマミ気味か
・ほぼ素赤なので品評会本番では評価されないだろう
尾園作出魚 #2
ぼくの2尾目。上の魚と同じ3月生まれで、まさに褪色中。
良い点
・尾筒が太い
・尾付けに鱗がよく回っている
・尾芯にクセはあるが丸尾 → 希少な形質なので、大事に飼って親に使いなさい
悪い点
・やはり餌の与えすぎ。しばらく控えるように
尾園作出魚 #3
4月生まれで、未褪色です。
良い点
・幅がある
・背なりが良い
・丸尾ではないが、尾芯が薄く、崩れにくい尾形をしている
悪い点
・特にないが、餌のやりすぎに注意するように
以上でした。初心者ということもあってお気遣いいただいているのが伝わってきましたが、それでも一定の評価を頂けたことは嬉しく、これからの飼育に活かせるアドバイスを頂いたこと、何よりこちらが抱いていた疑問や質問に、すべて明快に答えていただけたことがよかったです。魚を持って行ってよかったと思いました。
仲さんの飼育場と大阪らんちゅう
研究会終了後、大阪らんちゅう愛好会の会員で、品評会の優勝魚を何度も出している仲さんの飼育場へお邪魔しました。仲さんの作る丸手で大きな尾をもつ大阪らんちゅうは、いつも一際目を引く存在で、ぜひともその飼育環境を見学したかったのです。快諾してくださった仲さん、ありがとうございました。
仲さんの大阪らんちゅう
飼育場で多くの大阪らんちゅうを眺めながら、飼育の工夫やご苦労等、様々なお話を聞けたのは何よりの収穫でした。やはり経験豊かな先輩方の飼育場を見、お話を聞く以上のものはない、と痛感した次第。僕も頑張らなければ。
2014年7月28日